これで迷わない!デジタルアートソフトで絵を描く最初のステップ:キャンバス・色・ブラシ設定
デジタルアートソフトを開いて、さあ描こう!でも、何から始めれば良いの?
デジタルアートに興味を持ち、PCやタブレット、そしてデジタルアートソフトを準備された皆さん、おめでとうございます。いよいよ絵を描き始める第一歩ですね。
しかし、いざソフトを起動してみると、たくさんのボタンやメニューが表示されて、「結局何から始めれば良いのだろう」と迷ってしまうかもしれません。
特にデジタルアートが初めての方は、アナログで絵を描くのとは勝手が違うと感じる点も多いかと思います。紙と鉛筆があればすぐに描き始められるアナログとは異なり、デジタルではいくつかの準備や設定が必要になることが多いからです。
この記事では、デジタルアート超初心者の方に向けて、ソフトを開いてから実際に絵を描き始めるまでの「最初のステップ」で知っておきたい、最低限の設定や基本的な機能について分かりやすく解説します。ここでご紹介する内容が分かれば、迷うことなくデジタルで「描く」ことに集中できるようになるでしょう。
ステップ1:絵を描く場所「キャンバス」を用意する
アナログで絵を描くときに「紙」が必要なように、デジタルアートでは「キャンバス」が必要です。キャンバスとは、絵を描くための画面上の白い(または好きな色の)スペースのことです。
ほとんどのデジタルアートソフトでは、新しく絵を描き始める際に、まずこのキャンバスを作成する必要があります。
キャンバスを作成する際に、いくつか決めることがあります。
キャンバスのサイズを決める
これは、紙でいうところの「紙の大きさ」にあたります。デジタルでは、ピクセルという小さな点の集まりで大きさを表現します。例えば、「幅1920ピクセル、高さ1080ピクセル」のように指定します。
- どれくらいのサイズが良いの? 最初は特に難しく考える必要はありません。まずは、ソフトが用意しているおすすめのサイズや、使いやすいと感じる適当なサイズ(例:幅1000ピクセル x 高さ1000ピクセルなど)で始めてみるのが良いでしょう。描きたいものが決まってきたら、用途に合わせてサイズを調整できるようになります。
キャンバスの背景色を決める
新しいキャンバスを作る際に、背景の色を「白」「透明」「指定の色」などから選べることが多いです。
- 「透明」って何? 透明なキャンバスは、何も描かれていない部分が透けて見えます。後から別の色を背景に敷いたり、他の画像と合成したりしたい場合に便利ですが、最初は「白」を選んでおけば、アナログで白い紙に描くのと同じような感覚で始められます。
キャンバスの作り方(一般的な例)
多くのソフトでは、画面上部のメニューバーにある「ファイル」や「新規作成」といった項目から、「新しいキャンバス」や「新規ドキュメント」を選んで作成を開始します。すると、サイズや背景色などを設定する画面が表示されることが多いです。
まずは、表示される設定項目を恐れずに見てみましょう。分からない項目は、最初は初期設定のままで進めても問題ない場合が多いです。
ステップ2:好きな「色」を選ぶ
キャンバスの用意ができたら、いよいよ何らかの色を使って描くことになります。デジタルアートソフトには、非常に多くの色を選ぶ機能が搭載されています。
色の選び方の基本
ソフトによって表示方法は異なりますが、たいていは「カラーパレット」や「カラーピッカー」と呼ばれる機能で色を選びます。
- カラーパレット: あらかじめ用意された色の集合から選ぶ方法です。
- カラーピッカー: 色相環(色の輪)やカラースライダーを使って、自分で好きな色を細かく作り出す機能です。
最初は、カラーパレットの中から直感的に好きな色を選んでみることから始めてみましょう。慣れてきたら、カラーピッカーを使って微妙な色の違いを作り分けることもできるようになります。
RGBとCMYKって何?
色を選ぶ画面で「RGB」や「CMYK」という言葉を目にすることがあるかもしれません。これは色の表現方法(カラースペース)の種類です。
- RGB: パソコンやスマホの画面で色を表示するための方法です。(R=赤、G=緑、B=青の光の組み合わせで色を表現します)
- CMYK: 主に印刷で色を表現するための方法です。(C=シアン、M=マゼンタ、Y=イエロー、K=キープレート/黒のインクの組み合わせで色を表現します)
これからデジタルアートを始める段階では、まずRGBを選んでおけば間違いありません。主に画面で楽しむ分にはRGBで十分です。印刷を考えて作品を作る場合は、後からCMYKについても知る機会があるでしょう。
ステップ3:描く道具「ブラシツール」を使ってみる
色を選んだら、実際にキャンバスに色を乗せるための道具が必要です。デジタルアートソフトで最も基本的な描画ツールがブラシツールです。
ブラシツールは、アナログでいうと鉛筆、ペン、筆、マーカーなど、様々な「描く道具」の役割を担います。
ブラシのサイズを変える
ブラシツールを使う上で、まず知っておきたいのが「サイズ」の変更方法です。描く線や塗りの太さを調整できます。
多くのソフトでは、ブラシツールを選んだときに表示される設定項目の中に、「サイズ」や「太さ」といった項目があります。スライダーを動かしたり、数値を入力したりして、好きな太さに調整してみましょう。
ブラシの透明度(不透明度)を変える
もう一つ、非常に重要な設定が「透明度」または「不透明度」です。これは、描く色がどれくらいはっきりと描かれるか、あるいはどれくらい透けるかを決めます。
- 不透明度100%: 色が完全に塗りつぶされ、下の色は見えなくなります。
- 不透明度50%: 色が半透明になり、重ねて描くと下の色と混ざり合うように見えます。
- 不透明度0%: 透明なので、何も描かれません。
不透明度を調整することで、色の濃淡や重なり具合を表現できます。これもブラシのサイズと同様に、設定項目からスライダーなどで調整できます。
いろいろなブラシの種類
ソフトによっては、鉛筆風、Gペン風、水彩風、油絵風など、様々な「ブラシの種類」が用意されています。最初は「ペン」や「鉛筆」といった名前の、線がはっきり描けるブラシから試してみるのがおすすめです。
ステップ4:実際にキャンバスに描いてみましょう
キャンバスを用意し、色を選び、ブラシツールの基本的な使い方が分かったら、いよいよ描いてみる番です。
ペンタブレットやマウスを使って、キャンバスの上を動かしてみてください。選んだ色とブラシの太さで線が描かれるはずです。
消しゴムツール
間違えてしまったり、気に入らなかったりした場合は、消しゴムツールを使います。これもブラシツールと同様にサイズや透明度(どれくらい完全に消えるか)を設定できる場合があります。
アンドゥ(元に戻す)とリドゥ(やり直し)
デジタルアートの最大の利点の一つが、簡単に間違いを直せることです。「アンドゥ」は、直前の操作を取り消して、一つ前の状態に戻す機能です。「リドゥ」は、アンドゥで戻しすぎた場合に、操作を一つ進める機能です。
多くのソフトでは、メニューの「編集」の中にあったり、「Ctrl + Z」(Windows)または「Command + Z」(Mac)のようなキーボードショートカットが割り当てられていたりします。
たくさん失敗しても、すぐに元に戻せるのがデジタルです。恐れずにどんどん描いてみましょう。
最初のステップを踏み出せば、デジタルアートはもっと楽しくなる
この記事では、デジタルアートソフトで絵を描き始めるために最低限知っておきたい、キャンバスの準備、色の選び方、ブラシツールの基本操作について解説しました。
まずはこれらの基本的な設定や操作を試してみて、デジタルで「描く」という感触に慣れていくことが大切です。最初から完璧を目指す必要はありません。簡単な線や図形を描いてみたり、色々なブラシを試してみたり、自由に楽しみながら触れてみてください。
この最初のステップが踏み出せれば、デジタルアートの世界はぐっと身近になります。ここから、レイヤーの使い方を覚えたり、様々なブラシを使いこなしたりと、表現の幅をどんどん広げていくことができます。
デジタルアートを楽しむ旅は始まったばかりです。まずは気軽に、キャンバスに向かってペン(またはマウス)を動かしてみましょう。