デジタルアートで絵を描く時の色の選び方:初心者でも迷わない基本
デジタルアートを始めてみたけれど、色を塗る段階になって「どんな色を選べばいいのか分からない」「思ったような色にならない」と悩んでしまうデジタルアート初心者の方は多いかもしれません。
色選びは絵の印象を大きく左右する大切な要素です。たくさんの色があって迷ってしまうかもしれませんが、いくつかの基本的な考え方を知っていれば、初心者の方でも色選びの迷いを減らし、より楽しく絵を描けるようになります。
この記事では、デジタルアートで絵を描く際に役立つ、色の基本的な選び方や考え方について、初心者の方にも分かりやすくご紹介します。
デジタルアートの色選び、なぜ迷うのでしょうか
デジタルアートソフトには、アナログ画材では考えられないほどたくさんの色を選ぶことができます。パレットに並んだ色を見ていると、どれを選べば良いか分からなくなってしまうこともあるでしょう。
また、ディスプレイで見る色と印刷した時の色が違ったり、自分のイメージする色をどう作れば良いか分からなかったりすることも、初心者の方が色選びでつまずきやすい点です。
しかし、心配する必要はありません。色選びにはいくつかのヒントがあり、少しずつ慣れていくことができます。
色を選ぶ前に知っておきたい基本的なこと
デジタルアートソフトで色を選ぶ際に、よく目にする言葉がいくつかあります。難しい理論は一旦置いておき、まずは色の基本的な性質を簡単に理解しておきましょう。
多くのソフトでは、色を「色相」「彩度」「明度」の3つの要素で表現します。
- 色相(しきそう): いわゆる「色の種類」のことです。赤、青、黄色、緑といった、私たちが普段「どんな色?」と聞かれて答えるような違いを指します。色相環という円形で表現されることが多いです。
- 彩度(さいど): 「色の鮮やかさ」のことです。彩度が高いほど鮮やかで派手な色になり、彩度が低いほどくすんだ色や灰色に近い色になります。無彩色(白、灰色、黒)は彩度がゼロの状態です。
- 明度(めいど): 「色の明るさ」のことです。明度が高いほど明るい色(白っぽい色)になり、明度が低いほど暗い色(黒っぽい色)になります。
デジタルアートソフトの色選択画面を見ると、これらの要素をスライダーやグラフで調整できることが分かります。この3つを意識するだけでも、単にパレットから選ぶだけでなく、自分のイメージに近い色を作るためのヒントになります。
初心者におすすめ!迷わない色選びの考え方
たくさんの色の中からどのように色を選べば良いのでしょうか。初心者の方でも取り組みやすい色選びの考え方をいくつかご紹介します。
1. 使う色数を少なくしてみる
最初から多くの色を使おうとすると、全体がまとまらず、ごちゃごちゃした印象になってしまうことがあります。まずはメインとなる色をいくつか決め、それらの色を中心に絵を構成してみましょう。
例えば、青、水色、白など、同じ系統の色でまとめたり、補色(色相環で反対側にある色、例えば赤と緑)をアクセントとして少しだけ使ったりするのも効果的です。使う色数を絞ることで、絵全体に統一感が生まれやすくなります。
2. テーマや雰囲気から色を考える
絵で表現したいテーマや雰囲気から、連想される色を選んでみましょう。
- 暖かい、優しい雰囲気なら:オレンジ、黄色、ピンクなどの暖色系
- 涼しい、落ち着いた雰囲気なら:青、水色、緑などの寒色系
- 楽しげ、ポップな雰囲気なら:鮮やかな原色や明るい色
- 神秘的、静かな雰囲気なら:紫、紺色、グレーなど
描きたいものが「夕焼け空」ならオレンジや赤、紫といった色を、「森の中」なら緑や茶色、木漏れ日の黄色などを連想して選んでみてください。
3. 好きな作品や写真から参考にする
自分が「いい色だな」と感じる絵や写真を見つけて、そこから色を参考にしてみるのもとても良い方法です。
デジタルアートソフトには、「スポイトツール」と呼ばれる機能があることが多いです。これは、画面上の好きな場所の色を「吸い取る」ことができるツールです。参考にしたい絵や写真を取り込み、スポイトツールを使って使われている色を拾ってみましょう。そして、その拾った色を自分のパレットに追加したり、そのまま使ってみたりすることで、イメージに近い色を絵に取り入れることができます。
プロの作品や日常の風景など、身の回りには色選びのヒントがたくさんあります。
4. 事前にあるカラーパレットを活用する
インターネット上には、様々な色の組み合わせ(カラーパレット)が公開されています。「〇〇な雰囲気のカラーパレット」のように、テーマに沿って色の組み合わせが提案されていることもあります。
また、デジタルアートソフト自体に、あらかじめいくつかのカラーパレットが用意されている場合もあります。これらのカラーパレットをそのまま使うか、参考にして自分の色を選んでいくことも有効です。
色選びでつまずかないためのヒント
- 色を塗る前にラフスケッチで色の配置を考える: 線画を描いた後にいきなり色を塗り始めるのではなく、簡単なラフスケッチの段階で「この部分は赤っぽい色」「ここは暗めの色」といったように、大まかな色の配置や濃淡を決めておくと、塗り始めるときに迷いにくくなります。
- 試し塗り用のレイヤーを作る: 色塗りに慣れないうちは、線画とは別のレイヤーを作り、そこに試し塗りをしてみましょう。気に入らなければ簡単にやり直せますし、色の組み合わせを気軽に試すことができます。レイヤーについては、別の記事で詳しく解説していますので、そちらも参考にしてみてください。
- 最初から完璧を目指さない: 色選びは経験を重ねることで感覚が磨かれていきます。最初は「これで良いのかな?」と思いながらでも大丈夫です。まずは塗ってみて、試行錯誤を繰り返す中で、少しずつ自分なりの色選びのコツを掴んでいってください。
まとめ
デジタルアートの色選びは、初めは難しく感じるかもしれません。しかし、たくさんの色があることは、それだけ表現の幅が広いということでもあります。
「色相」「彩度」「明度」といった色の基本的な性質を少し意識したり、使う色数を絞ったり、好きな作品を参考にしたりと、いくつかご紹介した考え方を試してみてください。
色選びに正解はありません。大切なのは、自分が描きたい絵のイメージに近づけるために、楽しみながら様々な色を試してみることです。今回ご紹介した内容が、デジタルアートの色選びで迷っている初心者の方の助けになれば幸いです。