デジタルアート:描いた絵の一部だけをコピーして別の場所に貼る方法
デジタルアートを始められたばかりの方の中には、
「せっかく描いた絵の一部分を、別の場所にそのまま使い回したい」 「同じ形を何度も描くのは大変だから、コピーして増やしたい」
このように思われることがあるかもしれません。デジタルアートでは、一度描いた絵の一部を選んで、簡単にコピー&ペースト(複製して貼り付け)することができます。この機能を使えば、同じものを何度も描く手間が省けたり、絵の中の要素を移動させたりと、制作の効率がぐっと上がります。
この機能を使うためには、「選択範囲」を作る操作と、「コピー」「貼り付け」の操作を組み合わせます。ここでは、これらの基本的な使い方について、初心者の方にも分かりやすくご説明します。
デジタルアートで絵の一部をコピー&ペーストする基本的な流れ
デジタルアートソフトで絵の一部をコピーして別の場所に貼り付けるには、主に以下の3つのステップで行います。
- コピーしたい絵の一部を「選択範囲」として指定する
- 指定した「選択範囲」の内容をコピーする
- コピーした内容を好きな場所に「貼り付ける」
それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。
ステップ1:コピーしたい絵の一部を「選択範囲」として指定する
まず、絵の中でコピーしたい部分をソフトに「ここだよ」と教えてあげる必要があります。この操作のために使うのが「選択ツール」と呼ばれるものです。
多くのデジタルアートソフトには、いくつかの種類の選択ツールが用意されています。初心者の方がよく使うのは、以下のようなツールでしょう。
- 長方形選択ツール(または矩形選択ツール): 四角い範囲を指定したいときに使います。アイコンは破線で描かれた四角形のような形をしていることが多いです。
- 投げ縄選択ツール(またはフリーハンド選択ツール): 自由な形で範囲を指定したいときに使います。アイコンは縄や点線で描かれたフリーハンドの線のような形をしていることが多いです。
- 自動選択ツール(またはマジックワンドツール): クリックした場所の色と似ている範囲を自動で選んでくれます。背景など、単色に近い部分を選択したいときに便利です。アイコンは魔法の杖のような形をしていることが多いです。
使いたい選択ツールを選んだら、絵の上でドラッグしたりクリックしたりして、コピーしたい部分を囲みます。範囲が指定されると、その周りが点線で囲まれたり、色が少し変わったりして表示されます。これが「選択範囲」が作られた状態です。
もし間違った範囲を選んでしまっても大丈夫です。「元に戻す」機能を使えば、選択範囲を作る前の状態に戻せます。または、選択ツールを選び直して、改めて範囲を指定し直すこともできます。
ステップ2:指定した「選択範囲」の内容をコピーする
コピーしたい部分を選択範囲として指定できたら、次にその内容を「コピー」します。コピーとは、選んだ絵の情報を一時的にソフトの内部(「クリップボード」などと呼ばれます)に覚えておく操作です。
コピーの操作は、多くのソフトで共通して、メニューの「編集」の中に「コピー」という項目があります。これを選択することで、選択範囲の中身がコピーされます。キーボードのショートカットキーとしては、「Ctrl + C」(Windowsの場合)または「Command + C」(Macの場合)がよく使われます。
この時点では、画面上は何も変化がないように見えますが、絵の情報はソフトの中に控えとして保存されています。
ステップ3:コピーした内容を好きな場所に「貼り付ける」
最後に、コピーした絵を貼り付けたい場所に「貼り付け」ます。
貼り付けの操作も、多くの場合メニューの「編集」の中に「貼り付け」という項目があります。これを選択すると、コピーした絵がキャンバス上に新しく表示されます。キーボードのショートカットキーは、「Ctrl + V」(Windowsの場合)または「Command + V」(Macの場合)です。
貼り付けた絵は、元の絵とは別に操作できる「新しいレイヤー」として表示されることが多いです。レイヤーとは、透明なシートを重ねるようなイメージで、別々の絵を管理できる機能のことです。新しいレイヤーとして貼り付けられることで、元の絵に影響を与えずに、貼り付けた絵だけを移動させたり、拡大・縮小したり、回転させたりすることができます。
貼り付けた直後は、キャンバスの中央など、ソフトが決めた場所に表示されることが多いです。必要に応じて、「移動ツール」などを使って、好きな場所に配置し直してください。
コピー&ペーストを使いこなすためのヒント
- レイヤーを意識する: コピーしたい絵が描かれているレイヤーを選択しているか確認しましょう。別のレイヤーに描かれた内容はコピーされません。貼り付けた絵は、多くの場合新しいレイヤーに表示されるので、そのレイヤーを選んで編集するようにしましょう。
- 選択範囲の解除: 貼り付けが終わったら、作った選択範囲は解除しておくと、その後の作業がしやすくなります。選択範囲の解除は、メニューの「選択範囲」の中に「選択を解除」などの項目があることが多いです。キャンバスの選択範囲の外側をクリックすることでも解除できるソフトもあります。
- 切り取り(カット)と貼り付け: コピー&ペーストは元の絵を残しますが、「切り取り(カット)」と貼り付けを使うと、元の絵からその部分が消えて、別の場所に移動させるような操作になります。操作方法はコピーと似ていますが、メニューでは「切り取り」または「カット」を選びます。ショートカットキーは「Ctrl + X」(Windows)または「Command + X」(Mac)です。
まとめ
デジタルアートでのコピー&ペーストは、絵の一部を効率的に再利用するためのとても便利な機能です。最初は選択範囲の指定に少し戸惑うかもしれませんが、何度か試してみるうちに慣れてくるはずです。
「選択ツールで範囲を選ぶ」「コピーする」「貼り付ける」という基本的な流れを覚えて、あなたのデジタルアート制作にぜひ活用してみてください。同じものを繰り返し描く手間が省けて、より自由に絵を描くことができるようになります。