デジタルアート初心者:ソフトを開いて最初の操作ガイド
デジタルアートに関心をお持ちの皆さん、こんにちは。
機材を準備し、デジタルアートソフトをパソコンやタブレットにインストールされた方もいらっしゃるかもしれません。いよいよソフトを起動してみたものの、たくさんのメニューやボタンがあって、「まず何から始めたらいいのだろう?」と立ち止まってしまうことはよくあります。
この記事では、デジタルアート超初心者の方に向けて、ソフトを開いてから絵を描き始めるまでの、最初の具体的なステップと操作について、分かりやすく解説します。これからデジタルアートを始めるための一歩として、ぜひ参考にしてください。
最初に知っておきたいこと:ソフトの共通点
デジタルアートソフトは様々な種類がありますが、基本的な操作や考え方には共通する部分が多くあります。最初はその共通する基本的な部分から覚えていくと、他のソフトを使うことになった時にも応用が利きやすくなります。
これからご紹介する操作は、多くのソフトで共通して行う、絵を描くための土台作りとなります。
ステップ1:新しいキャンバスを作成する
デジタルアートで絵を描くには、まず「キャンバス」が必要です。これは、アナログで言うところの「紙」や「キャンバス」にあたる、絵を描くための作業スペースです。
多くのソフトでは、起動後に「新規作成」や「ファイル」メニューから「新規」を選ぶことで、新しいキャンバスを作成できます。
キャンバスのサイズを決める
新規作成を選ぶと、キャンバスの「サイズ」や「解像度」などを設定する画面が表示されることが多いです。最初は難しく考えず、まずは一般的なサイズで試してみるのがおすすめです。
例えば、
- ウェブサイトやSNSにアップしたい場合: 幅800ピクセル、高さ800ピクセルなど、少し小さめのサイズから始めてみましょう。正方形や横長、縦長など、描きたいものに合わせて自由に決めることができます。
- A4サイズ程度の印刷を考えている場合: 幅2894ピクセル、高さ4093ピクセル(解像度300dpiの場合)など、大きめのサイズが必要になります。
最初はウェブで公開するくらいのサイズ(ピクセル単位で指定)で試すのが手軽です。サイズは後から変更できるソフトもありますが、最初に決めておくとスムーズです。
「解像度(dpi)」は、印刷に関わる重要な設定ですが、最初はあまり気にせず、デフォルトの設定(72dpiや300dpiなど)のままで問題ありません。まずはサイズ(幅と高さ)を決めて、「OK」や「作成」ボタンを押してみましょう。白い、または透明な新しい画面が表示されるはずです。これが、あなたの最初のデジタルキャンバスです。
ステップ2:基本的なツールを選んでみる
キャンバスが表示されたら、いよいよ絵を描くための「ツール」を選びます。ソフトの画面の端の方に、たくさんのアイコンが並んでいる場所があるはずです。これがツールパレットと呼ばれるものです。
最初はすべてのツールを覚える必要はありません。まずは絵を描くための基本となるツールを使ってみましょう。
- ペン/ブラシツール: 線を描いたり、色を塗ったりするための最も基本的なツールです。様々な種類(鉛筆、Gペン、水彩ブラシなど)がありますが、最初は「Gペン」や「丸ペン」といった、シンプルで扱いやすいものから試してみるのがおすすめです。
- 消しゴムツール: 描いた線を消すためのツールです。
- 塗りつぶしツール(バケツツール): 閉じられた範囲を一気に同じ色で塗りつぶすためのツールです。
画面上のツールアイコンをクリックして選択したら、キャンバスの上でマウスやペンタブレットを動かして、実際に線を描いたり消したりしてみてください。線の太さや色の変え方なども、少しずつ試してみましょう。
ステップ3:レイヤーを使ってみる
デジタルアートの大きな特徴の一つに「レイヤー」があります。これは、透明なシートを何枚も重ねるようなイメージです。
例えば、
- 1枚目のシートに下書きを描く
- 2枚目のシートに線画を描く
- 3枚目のシートに色を塗る
のように使い分けます。こうすることで、下書きだけを非表示にしたり、線画だけを編集したり、色だけを塗り直したりすることが簡単にできるようになります。アナログのように、一度描いたものが下の層と混ざってしまう心配がありません。
多くのソフトでは、画面の隅に「レイヤー」という名前のパレットが表示されています。「新規レイヤー作成」のようなボタン(アイコンはソフトによって異なりますが、プラス記号や紙が重なったようなものが多いです)を探してクリックしてみましょう。新しい透明なレイヤーが追加されます。
描く内容ごとにレイヤーを分ける習慣をつけると、後からの修正が格段に楽になります。最初は戸惑うかもしれませんが、まずは新しいレイヤーを作って、そこに何か描いてみることから始めてみましょう。
ステップ4:描いて、消して、慣れてみる
新しいキャンバスを作成し、基本的なツールを選び、レイヤーの概念を少し理解したら、あとは自由に描いてみましょう。
- 丸や四角、直線など、簡単な図形を描いてみる
- ペンの太さや色を変えて、色々な線を試してみる
- 消しゴムで描いたものを消してみる
- 別のレイヤーに違うものを描いてみる
最初は上手く描こうと気負う必要はありません。まずはソフトの操作に慣れることが大切です。デジタルで描く感覚は、アナログとは少し異なります。繰り返し手を動かして、ツールの使い方や描画の感覚を掴んでいきましょう。
ステップ5:作品を保存する
ある程度描けたら、作業内容を保存しましょう。「ファイル」メニューから「保存」や「別名で保存」を選びます。
初めて保存する場合や、ファイル名を変更したい場合は「別名で保存」を選びます。保存場所(パソコンのどこに保存するか)とファイル名を決めて保存します。
ファイル形式について
保存する際に「ファイル形式」を選ぶことができます。最初は「ソフト独自の形式」か「PNG形式」で保存するのがおすすめです。
- ソフト独自の形式: レイヤー情報なども含めて保存されます。後から編集を続けたい場合に適しています。
- PNG形式: レイヤー情報は含まれませんが、多くの画像ソフトやウェブサイトで表示できます。透過(背景を透明にすること)に対応しているため、ウェブ用に画像を書き出す際などによく使われます。
最初はソフト独自の形式で保存しておけば、いつでも編集を再開できます。ウェブにアップロードするなど、他の用途で使いたい場合にPNG形式などで「書き出し」を行うのが一般的です。
まとめ:まずは触れてみることが大切
デジタルアートソフトを開いて最初に行う操作は、以下の通りです。
- 新しいキャンバスを作成する(サイズを決める)
- 基本的なツール(ペン、消しゴムなど)を選んで使う
- レイヤーを作成して使ってみる
- 自由に描いて、操作に慣れる
- 作業内容を保存する
初めてのデジタルアートは、分からないことだらけで当たり前です。焦らず、まずはソフトを触ってみることから始めてみましょう。今回ご紹介した最初のステップを試しながら、少しずつデジタルでの描画に慣れていってください。
操作に慣れてくると、表現の幅がどんどん広がっていく楽しさを感じられるはずです。最初の一歩を踏み出した皆さんのデジタルアートライフを応援しています。