デジタルアートで描いた線がガタガタ…綺麗に直す方法を解説
デジタルアートを始めたばかりの頃、思い通りに線が描けず、ガタガタしたり歪んでしまったりすることに悩む方は多くいらっしゃいます。特に、ペンタブレットを使って細い線を引くのは、慣れるまで少し難しいと感じるかもしれません。
でもご安心ください。デジタルアートの良いところは、描いた後からでも簡単に線を修正できる点にあります。アナログでは難しい細かい調整も、デジタルなら気軽に試すことができます。
この記事では、デジタルアートで描いた線が少しイメージと違うなと感じたときに、どのように修正すれば良いのか、初心者の方でも分かりやすい方法を中心にご紹介します。
なぜ線がガタガタしやすいのでしょうか
線がガタついてしまう原因はいくつか考えられます。
- ペンタブレットの操作に慣れていない: 紙とペンに比べて、ペンタブレットと画面を見ながら描くという行為は独特です。手元を見ながら描く紙とは感覚が違うため、最初は思ったように線が引けないことがあります。
- 線の速さや安定性: ゆっくりすぎる線や、途中で動きが止まる線は、ガタつきやすくなります。ある程度、一気に線を引く方が滑らかになることがあります。
- ソフトの設定: デジタルアートソフトには、「手ブレ補正」のような、線を滑らかにする機能があります。この設定がオフになっていたり、弱すぎたりすると、線の揺れがそのまま反映されてしまいます。
これらの原因があっても、一度描いてしまった線は、後からいくらでも修正できます。
デジタルアートで線を修正する基本的な方法
描いてしまった線を修正するには、いくつかの方法があります。これからご紹介する方法は、多くのデジタルアートソフトに搭載されている基本的な機能を使いますので、ぜひ試してみてください。
1. 消しゴムツールで部分的に修正する
一番シンプルで直感的な方法です。
描いた線の中で、少しはみ出してしまった部分や、角が尖りすぎてしまった部分など、細かい場所をピンポイントで直したい場合に便利です。
- デジタルアートソフトのツールバーから「消しゴムツール」を選びます。
- 消しゴムのサイズを、消したい線の太さや細部に合わせて調整します。
- 修正したい部分をマウスやペンでなぞって消します。
- 必要であれば、もう一度ブラシツールを選んで、消した部分を描き直します。
この方法は、大きな修正には向きませんが、ちょっとしたズレやはみ出しを直すのに手軽です。
2. 選択ツールと移動・変形機能を使う
描いた線の形そのものを大きく変えたい、あるいは場所を動かしたい場合に役立ちます。
例えば、描いた丸が少し歪んでしまったので、全体の形を少し潰したり伸ばしたりしたい、といった場合に使います。
- ツールバーから「選択ツール」を選びます。ツールによって「なげなわ選択」「長方形選択」「自動選択(マジックワンド)」など種類がありますが、まずは修正したい線を囲める「なげなわ選択」や「長方形選択」などが使いやすいでしょう。
- 修正したい線や形を、選択ツールで囲んで選びます。
- 選択した範囲に対して「移動ツール」や「変形ツール」を選択します。
- 移動ツールなら、選んだ線をそのまま別の場所に動かせます。
- 変形ツール(「自由変形」「拡大・縮小」「回転」などソフトによって名称が異なります)を使うと、選んだ線を拡大・縮小したり、回転させたり、あるいはドラッグして歪ませたりすることができます。
- 思い通りの形になったら、変形を確定します。
この方法は、線の位置を動かしたり、大まかな形を整えたりするのに非常に有効です。
3. 描いた線を「パス」として編集する(少し慣れてきたら)
少し専門的な言葉になりますが、多くのデジタルアートソフトでは、描いた線を「パス」という情報として扱うことができます。パスは、点の位置と点と点を結ぶ線のカーブの情報でできており、この点(アンカーポイント)や線のカーブを後から自由に変えることができます。
- パスとは、例えるなら「ガイド線」や「設計図」のようなものです。このパスの形を変えることで、そのパスに沿って描かれている線の形も変わります。
このパスを使った編集は、完全に滑らかで思い通りのカーブを作りたいときや、複雑な曲線を後から細かく調整したいときに非常に強力な方法です。ただし、ツールの操作方法が少し独特なので、初めての方は戸惑うかもしれません。多くのソフトで「ペンツール」や「パスツール」といった名称で提供されています。
操作のイメージとしては:
- パス編集ができる状態で線を描くか、描いた線をパスに変換します。
- パス上にある点(アンカーポイント)を移動させたり、点の近くにあるハンドル(方向線)を動かしたりすることで、線のカーブを滑らかに変えていきます。
- 点の数を増やしたり減らしたりすることも可能です。
パス編集は、最初は難しく感じるかもしれませんが、慣れると手描きでは難しい完璧なラインを描けるようになります。すぐに使いこなせなくても大丈夫ですので、「こういう機能があるんだな」と知っておくだけでも良いでしょう。
これから描く線のために:描く時のコツも少しだけ
描いてしまった線を修正する方法をご紹介しましたが、もちろん、描くときから線を綺麗にするための工夫もあります。
- 手ブレ補正機能を活用する: ほとんどのソフトに搭載されています。補正を強くすると線は滑らかになりますが、思ったように線が追いついてこない感覚になることもあります。自分に合った強さを見つけてみましょう。
- 線を「描こう」としすぎない: 肩の力を抜いて、サッと線を描いてみる方が、意外と綺麗になることがあります。失敗してもすぐに消してやり直せるのがデジタルの強みです。
- 拡大して描く: 小さく描くと線のガタつきが目立ちやすいですが、キャンバスを拡大して大きく描くと、細かい線の揺れが気になりにくくなります。
焦らず、色々な方法を試してみましょう
デジタルアートで線を綺麗に描くこと、そして描いた線を綺麗に修正することは、どちらも練習が必要です。最初はなかなか思い通りにいかなくても、落ち込む必要はありません。
ご紹介したように、デジタルには後から修正できる便利な機能がたくさんあります。まずは消しゴムや選択ツールでの修正から試してみて、慣れてきたらパス編集のような方法にも挑戦してみるのが良いでしょう。
描くこと自体を楽しむ気持ちを大切にしながら、少しずつツールの使い方を覚えていってください。きっと、あなたの理想とする線が描けるようになります。