デジタルアートを始めたい!必要なPCスペックの目安は?
デジタルアートに興味をお持ちいただき、ありがとうございます。いざ始めてみようと思ったとき、「今持っているパソコンで大丈夫かな」「どんなパソコンを用意すればいいんだろう」と悩む方もいらっしゃるかもしれません。
デジタルアート制作には、パソコンの性能(スペック)が大きく関わってきます。しかし、専門用語が多くて難しく感じてしまうこともありますね。この記事では、デジタルアート初心者の方に向けて、必要なパソコンのスペックについて、専門的な知識がなくても理解できるよう、分かりやすく解説します。
なぜデジタルアートにパソコンのスペックが関係するのか
アナログで絵を描くのと違い、デジタルアートはパソコン上でソフトウェアを使って制作します。紙に描くときには不要だった「計算」や「処理」を、パソコンが行う必要があるためです。
特に、
- 高解像度で大きなサイズの絵を描くとき
- たくさんの「レイヤー」(透明なシートを重ねるイメージ)を使うとき
- 複雑なブラシやエフェクトを使うとき
- 複数のソフトを同時に使うとき
といった場合に、パソコンの処理能力が低いと、動作が重くなったり、処理に時間がかかったり、最悪の場合はソフトが固まってしまったりすることもあります。快適にスムーズに制作を進めるためには、ある程度のパソコンのスペックが必要になります。
デジタルアートに関わる主なPCスペックの用語解説
パソコンのスペックを示す言葉はいくつかありますが、デジタルアート制作において特に重要になるのは以下の4つです。
- CPU(シーピーユー)
- 「パソコンの脳」のようなものです。様々な計算や処理を行います。CPUの性能が高いほど、複雑な処理を素早く行うことができます。
- メモリ(メモリ)
- 「作業机の広さ」のようなものです。作業中のデータを一時的に置いておく場所で、容量が大きいほど同時にたくさんの作業をしたり、大きなデータを扱ったりしやすくなります。デジタルアートでは、特にレイヤーをたくさん使う場合にメモリ容量が重要になります。
- ストレージ(ストレージ)
- 「本棚や倉庫」のようなものです。作成した絵のファイルや、インストールしたソフトなどを保存しておく場所です。容量が大きいほど、たくさんのファイルを保存できます。ストレージには「HDD」と「SSD」がありますが、SSDの方が読み書き速度が圧倒的に速いため、パソコンやソフトの起動、ファイルの保存などが快適になります。
- GPU(ジーピーユー)またはグラフィックボード(グラフィックボード)
- 主に画像や映像の処理を担当する部分です。「絵を描く」という作業において、画面表示をスムーズに行ったり、ブラシの動きを滑らかにしたりするのに役立ちます。特に3Dアートやアニメーション制作など、より高度なデジタルアートを行う場合には重要になりますが、一般的なイラスト制作でも、ある程度の性能があると快適性が増します。
これらの部品の性能の組み合わせによって、パソコン全体の処理能力が決まります。
デジタルアートを始めるためのPCスペック目安
では、具体的にどのくらいのスペックがあればデジタルアートを始められるのでしょうか。ここでは、一般的なデジタルイラスト制作を想定した目安をお伝えします。
最低限これくらいあれば「とりあえず」始められるレベル
「まずは無料のソフトで試してみたい」「簡単な落書きから始めてみたい」という方であれば、比較的お手頃な価格のパソコンでも始められる場合があります。
- CPU: Intel Core i5 または AMD Ryzen 5 相当以上
- メモリ: 8GB
- ストレージ: SSD 256GB 以上
- GPU: CPU内蔵のグラフィック機能でも可(ただし、動作が重くなる可能性はあります)
このレベルの場合、あまり高解像度の絵を描いたり、レイヤーを大量に使ったりすると、動作が遅くなるかもしれません。しかし、デジタルアートがどんなものか体験するには十分なスペックと言えるでしょう。今お持ちのパソコンがこのあたりのスペックに近いようであれば、まずは試してみる価値はあります。
快適にデジタルアートを楽しむための推奨レベル
ある程度本格的にデジタルアートに取り組みたい、趣味として長く続けたい、と考えている方には、このくらいのスペックがあると安心です。多くの人気デジタルアートソフトが快適に動作する目安です。
- CPU: Intel Core i7 または AMD Ryzen 7 相当以上
- メモリ: 16GB 以上
- ストレージ: SSD 512GB 以上
- GPU: 性能が高めのCPU内蔵グラフィック、またはエントリークラスの外部グラフィックボード(GeForce GTX 1650 / RTX 3050 相当など)
メモリが16GBあると、高解像度のイラストでも比較的多くのレイヤーをストレスなく扱えるようになります。ストレージは、ソフトのインストール容量や、保存する絵のファイルサイズによって必要な容量が変わりますが、SSDは体感速度に大きく影響するのでおすすめです。
これからPCを選ぶ際のポイント
もしこれから新しくパソコンの購入を検討される場合は、いくつかポイントがあります。
- 予算を決める: パソコンの価格はスペックによって大きく変わります。まずは予算を決めて、その範囲内で最も希望に近いスペックのものを探すのが現実的です。
- OSを選ぶ: WindowsまたはmacOSが一般的です。使いたいデジタルアートソフトがどちらのOSに対応しているか確認しましょう。また、タブレットなどの周辺機器との相性も考慮すると良いでしょう。
- ディスプレイの性能: 色の正確さや解像度が高いディスプレイだと、よりイメージ通りの色で作品を制作できます。
- 拡張性: 将来的にメモリやストレージを増設できるかなども確認しておくと、長く使い続ける上で役立つことがあります。
お店やオンラインサイトでパソコンを見るときは、上記で解説したCPU、メモリ、ストレージ(SSDかHDDか、容量)、そして可能であればGPUの種類を確認してみてください。
今お持ちのパソコンが不安な場合
「自分のパソコンのスペックがよく分からない」「これで始められるか不安」という場合は、まずお使いのパソコンのスペックを確認してみましょう。WindowsやmacOSには、パソコンのシステム情報を確認する機能が備わっています。
- Windowsの場合: 「設定」→「システム」→「バージョン情報」で、CPUやメモリ容量などが確認できます。
- macOSの場合: 画面左上のリンゴマークから「このMacについて」を選択すると、プロセッサ(CPU)、メモリ、ストレージなどが確認できます。
確認したスペックと上記の目安を比較してみてください。もし最低限のレベルに満たない場合でも、すぐに諦める必要はありません。無料の軽量なソフトから試してみたり、パソコンを買い替える際に今回の情報を参考に検討したりと、選択肢はいくつかあります。
まとめ
デジタルアートを始める上で、パソコンのスペックは確かに重要ですが、最初から最高性能のものを用意する必要はありません。まずは今お持ちのパソコンで試してみたり、ご自身の予算や目指したい表現に合わせて、無理のない範囲で機材を検討することが大切です。
この記事が、デジタルアートを始めたい方のパソコン選びの参考になれば幸いです。難しく考えすぎず、まずは一歩踏み出して、デジタルで絵を描く楽しさを体験してみてください。