デジタルアート初心者:上達につながる具体的な練習メニュー
デジタルアートに興味を持ち、いざ始めてみたものの、「どんな練習をすれば絵が上手くなるのだろうか」「何を描けばいいのか分からない」と悩むデジタルアート初心者の方もいらっしゃるかもしれません。アナログで絵を描いた経験がある方でも、デジタルならではの機能やツールの使い方に慣れるまでは、練習の方向性に迷うことがあるかと思います。
この記事では、これからデジタルアートの練習を始めたい方や、どんな練習をすれば効果的なのか知りたい方向けに、上達につながる具体的な練習方法や、練習に使えるアイデアをご紹介します。
なぜ練習が必要なのでしょうか
デジタルアートは、パソコンやタブレット、ペンタブレット、そして専用のソフトを使って絵を描きます。これらの機材やソフトの操作に慣れることが、まず最初のステップとなります。アナログの絵を描くのと同じように、線を引く、色を塗る、形を捉えるといった基本的な描画スキルも大切ですが、それに加えて、デジタルならではの「レイヤー」の使い方や「ブラシ」の設定、「保存」や「書き出し」といった機能の理解も必要です。
これらのスキルは、実際に手を動かして練習することで身についていきます。焦らず、楽しみながら、一歩ずつ進んでいきましょう。
具体的な練習メニューの例
「何を描けばいいか分からない」というときは、目的を持った簡単な練習から始めてみるのがおすすめです。ここではいくつか具体的な練習メニューをご紹介します。
1. ソフトの基本操作に慣れる練習
まずは、お使いのデジタルアートソフトの基本的な操作に慣れることが大切です。
- 直線の練習: ソフトにある直線ツールや、手ぶれ補正機能を使って、まっすぐな線を引く練習をしてみましょう。
- 曲線の練習: 線の太さを変えたり、筆圧を意識したりしながら、滑らかな曲線を繰り返し描いてみましょう。
- 塗りの練習: 塗りつぶしツール(バケツツール)を使って、隙間なく色を塗る練習や、ブラシツールでグラデーションを作る練習などをしてみましょう。
- 消しゴムの練習: 消しゴムツールの硬さやサイズを変えながら、描いた線を綺麗に消す練習をしてみましょう。
これらの基本的な操作に慣れることで、描きたいものをスムーズに描けるようになります。
2. 形を捉える練習(模写、トレース)
描きたいものを形にする練習も大切です。
- 簡単なものの模写: 身の回りにある簡単な物(コップ、本、果物など)をよく観察して描いてみましょう。デジタルで描くことに慣れるまでは、写真を見ながら模写するのも良い練習になります。
- 好きな絵の模写(学習目的で): 自分が好きなイラストや写真を模写することで、線の使い方や色の塗り方、構図などを学ぶことができます。ただし、模写したものをそのまま自分の作品として公開したり販売したりすることは、著作権の問題に関わる可能性があるため、あくまで個人の学習目的で行うようにしてください。
- 写真のトレース(線画練習として): 写真を取り込み、その上から線を描いて形をなぞる(トレース)のも、線の練習になります。これも、トレースしたものをそのまま公開・販売しないなど、著作権には配慮が必要です。トレースはあくまで、線の引き方や形の捉え方の補助として活用しましょう。
3. 色を学ぶ練習
デジタルアートは色選びの幅が広く、表現力が豊かになります。
- 配色の練習: 好きなイラストや写真から色を抜き出して、どんな色が使われているか分析したり、自分でもいくつかの色を組み合わせて塗ってみたりしましょう。
- 既存の線画の塗り絵: インターネット上には、練習用に配布されている線画データなどがあります。そういった線画データをダウンロードして、色塗りの練習に使ってみましょう。塗り方を変えるだけで、絵の雰囲気が大きく変わることを体験できます。
- 同じ絵を違う配色で塗る: 自分で描いた簡単な絵や、練習用の線画を使い、暖色系で塗る、寒色系で塗る、特定の色だけで塗るなど、様々な配色を試してみましょう。
4. 短時間で描く練習(クロッキーのようなもの)
時間を決め、「〇分でこれを描く」というように制限時間を設けて描く練習です。
- テーマを決めて短時間で描く: 「リンゴ」「猫」「手」など、簡単なテーマを決めて、例えば5分や10分で描いてみます。細部まで丁寧に描くというよりは、全体の形や印象を素早く捉える練習になります。
- 複数のテーマを短時間で描く: いくつかの異なるテーマを連続して描くことで、描くことへのハードルが下がり、柔軟な発想で描く練習にもなります。
時間を気にせずじっくり描く練習も大切ですが、短時間で集中して描く練習も、描くスピードや観察力を養うのに役立ちます。
5. 描きたいものを描いてみる
一番大切なのは、「これを描きたい」という気持ちを大切にすることです。
- 好きなもの、興味のあるものを描く: 自分の好きなキャラクター、動物、風景、食べ物など、何でも構いません。描きたいというモチベーションが、練習を続ける一番の力になります。
- 簡単なアイデアから始める: 最初から複雑な絵を描こうとせず、例えば「丸いキャラクター」「四角い建物」「簡単な模様」など、シンプルなアイデアから描き始めてみましょう。
練習を続けるためのヒント
練習は継続することが大切です。モチベーションを維持するために、いくつかヒントをご紹介します。
- 毎日少しずつでも描く: 長時間まとまった時間が取れない日でも、10分でも15分でも、ソフトを開いて何か描くようにすると、習慣になりやすいです。
- 練習の記録をつける: 練習した絵を保存しておき、時々見返してみましょう。始めた頃の絵と今の絵を見比べることで、自分の成長を実感でき、モチベーションにつながります。
- SNSなどで公開してみる(抵抗がなければ): 描いた絵をSNSなどで公開することで、他の人からの反応をもらえたり、他の人の作品を見て刺激を受けたりすることができます。ただし、無理にする必要はありません。
- 他の人の作品を見て参考にする: 好きなアーティストや、同じようにデジタルアートを始めたばかりの方の作品を見るのも良い刺激になります。ただし、比較しすぎて落ち込むのではなく、「こんな表現があるのか」「こうやって描いているのか」という発見の視点を持つことが大切です。
焦らず、楽しみながら練習しましょう
デジタルアートの練習は、すぐに目に見える成果が出なくても、必ず積み重なっていきます。大切なのは、完璧を目指しすぎず、描くことを楽しむ気持ちを持つことです。
ご紹介した練習メニューの中から、興味のあるものや、今の自分にできそうなものを選んで、ぜひ試してみてください。色々な練習方法を経験する中で、自分に合った、そして楽しい練習方法が見つかるはずです。
一歩ずつ、自分のペースでデジタルアートの世界を楽しんでいきましょう。