デジタルアート作品を公開・印刷するには?初心者向け方法解説
デジタルアートを始めて、念願の作品が完成したとします。時間をかけて描いた大切な絵を、ただパソコンやタブレットの中にしまっておくだけではもったいないですよね。
せっかく描いた作品を、誰かに見てもらったり、手元に残る「形」にしたいと考えるのは自然なことです。
この記事では、デジタルアート超初心者の方に向けて、完成した作品をインターネット上で公開・共有する方法や、紙などに印刷して楽しむ方法について、基本的なステップや知っておきたいことを分かりやすく解説します。
完成したデジタルアート作品を公開・共有する方法
デジタルアートの大きな魅力の一つは、インターネットを通じて世界中の人と作品を共有できることです。主に二つの方法が考えられます。
- SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)に投稿する
- どんなところ? TwitterやInstagram、Facebookなどの、普段から多くの人が利用しているサービスです。
- 良い点: 普段つながりのある友人や知人に見てもらいやすいです。多くの人の目に触れる機会があり、共感や感想をもらえる可能性があります。手軽にすぐに投稿できます。
- 気をつける点: 作品だけでなく、日常の投稿と混ざる場合があります。専門の作品発表の場ではないため、アートに特化した層以外の人も目にします。
- オンラインギャラリーやポートフォリオサイトに掲載する
- どんなところ? pixivやArtStation、Behanceなど、主にクリエイターが作品を発表するために作られたサービスです。自分の作品だけをまとめて見せられる「ポートフォリオサイト」を作るサービスもあります。
- 良い点: アートやイラストに関心のある人が多く集まります。自分の作品だけを並べて見せられるので、作品集のような形で公開できます。他のクリエイターの作品を見ることで刺激も得られます。
- 気をつける点: サービスによっては、作品を公開するのに少し設定が必要な場合があります。多くの作品が掲載されているため、自分の作品を見つけてもらうには工夫が必要かもしれません。
どちらの方法を選ぶかは、誰に、どのように見てもらいたいかによって変わります。まずは、普段使い慣れているSNSで気軽に公開してみるのも良いでしょう。
公開・共有する際に知っておきたいこと
- ファイル形式: インターネットで画像を表示する際は、主にJPEGやPNGというファイル形式が使われます。
- JPEG: 写真のように色数の多い画像を圧縮してファイルサイズを小さくするのに向いています。背景を透明にすることはできません。
- PNG: 色数が少ないイラストや、背景を透明にしたい画像に向いています。JPEGよりファイルサイズが大きくなる傾向があります。
- 多くの場合、完成した作品を保存する際に、これらの形式を選んで書き出します。
- 解像度: インターネットで表示するだけなら、印刷ほど高い解像度は必要ありません。一般的に、画面の大きさに合わせて適切なピクセル数(例えば、幅1000ピクセルなど)で保存すれば十分です。あまり高解像度すぎると、ファイルの読み込みに時間がかかる場合があります。
- 著作権: 自分で描いた絵には、基本的に著作権が発生します。これは特別な手続きなしに自然に発生する権利です。他の人の作品を許可なく使用したり、あたかも自分が描いたかのように発表することは著作権侵害にあたりますので、注意が必要です。ご自身の作品を公開する際にも、無断転載などを防ぐための対策(例えば、作品に小さく名前やサインを入れるなど)を検討しても良いかもしれません。
完成したデジタルアート作品を印刷する方法
デジタルで描いた絵を、紙のポスターにしたり、ポストカードにしたり、Tシャツやマグカップなどのグッズにすることも可能です。作品が「形」になるのは、また違った喜びがあります。印刷する方法はいくつかあります。
- 自宅のプリンターで印刷する
- 良い点: 手軽にすぐに印刷できます。1枚だけ試しに印刷したい場合などに便利です。
- 気をつける点: 用紙のサイズや種類に限りがあります。印刷品質はプリンターの性能やインク、用紙によって異なります。大きなサイズを印刷するには、対応したプリンターが必要です。
- コンビニのマルチコピー機で印刷する
- 良い点: 自宅にプリンターがなくても利用できます。L版写真やA4/B4サイズの普通紙、光沢紙などに印刷できる場合があります。
- 気をつける点: 対応しているファイル形式やサイズに制限があることがあります。画質にこだわる場合は、専門業者の方が向いています。
- 専門の印刷業者に依頼する
- 良い点: ポスター、ポストカード、本、グッズなど、様々なものに高品質な印刷が可能です。大きなサイズや特殊な用紙にも対応しています。データを入稿すれば、プロがきれいに仕上げてくれます。
- 気をつける点: 費用がかかります。印刷方法や用紙、サイズなどを選ぶ必要があります。データを入稿する際に、業者指定の形式や設定(解像度や色のモードなど)に合わせる必要があります。
印刷する際に知っておきたいこと
- ファイル形式: 印刷業者に依頼する場合、PSD(Photoshopの形式)やTIFF、PDFなどの形式での入稿を求められることが多いです。JPEGやPNGでも可能な場合もありますが、印刷に適した形式で保存することをおすすめします。
- 解像度: 印刷では、インターネットで表示するよりもはるかに高い解像度が必要です。一般的に、1インチあたり300〜350dpi(ドット・パー・インチ)という解像度が推奨されます。これは、印刷されるサイズで見たときに、どれだけ細かく点が打てるかを示します。解像度が低いと、印刷したときに画像が粗く(ギザギザに)見えてしまうことがあります。描く段階で、最終的に印刷したいサイズと必要な解像度を決めておくことが大切です。
- 色のモード: デジタルアートを描く際に使う色の表現方法は、主にRGBです(画面表示に向いています)。一方、印刷では主にCMYKという色の表現方法を使います。RGBで表現できた色が、CMYKでは表現できない場合があり、印刷すると画面で見た色と少し変わって見えることがあります。プロの印刷業者に依頼する場合は、入稿データをCMYKに変換する必要があるか確認しましょう。ソフトによっては、描いている途中や保存時にCMYKモードを選択できます。
まとめ
デジタルアートで完成した作品は、インターネットで手軽にたくさんの人に見てもらったり、印刷して手元に残る「形」にしたりと、様々な方法で楽しむことができます。
最初は難しく感じるかもしれませんが、まずは小さな一歩として、完成した絵をSNSに投稿してみる、あるいは自宅のプリンターで試しに1枚印刷してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
作品を公開したり、印刷したりする経験は、デジタルアートの楽しさをさらに広げ、次の創作への大きなモチベーションにもなるはずです。ぜひ、描くだけでなく、完成した作品を活用する方法も楽しんでみてください。