デジタルアートの保存方法と解像度って何?初心者向け解説
デジタルアートを描いたら、どうすればいいの?
デジタルアートを始めて、キャンバスに線を描いたり色を塗ったりする操作に少し慣れてきた頃、次に疑問に思うことの一つに「描いた絵をどうすればいいのだろう」という点があるのではないでしょうか。
紙に描いた絵はそのまま手元に残りますが、デジタルアートはパソコンやタブレットの画面の中にあります。これを「保存」したり、どのように「管理」すれば良いのか、また、保存する際に目にする「解像度」や「ファイル形式」といった言葉の意味がよく分からないと感じているかもしれません。
この記事では、デジタルアートを超初心者の方が安心して進めるように、絵の「保存」について、そして「解像度」と「ファイル形式」という大切な概念について、分かりやすく解説していきます。せっかく描いた絵をなくしてしまわないように、ぜひ参考にしてください。
デジタルアートの「保存」とは?
デジタルアートにおける「保存」とは、簡単に言うと描いた絵のデータをコンピューターの中に記録することです。これによって、ソフトを一度閉じても、また開き直して続きから描いたり、完成した絵をいつでも見たり、他の人に送ったりすることができるようになります。
なぜ保存が必要なのでしょうか。主な理由は二つあります。
- 作業の続きを行うため:デジタルアートソフトで絵を描いている最中、パソコンの電源が切れたり、ソフトが予期せず終了してしまったりすることがあります。保存していなければ、それまでの作業はすべて消えてしまいます。こまめに保存することで、そうしたアクシデントから絵を守ることができます。
- 完成した絵を手元に残すため:絵が完成したら、その状態を保存しておく必要があります。そうすれば、後から見返したり、Webサイトに公開したり、印刷したりといった様々な形で活用できます。
保存は、デジタルアート制作の基本的なステップの一つです。多くのソフトには、画面上部に「ファイル」メニューがあり、その中に「保存」や「別名で保存」といった項目があります。作業中は定期的に「保存」を選び、絵が完成したら「別名で保存」で最終版として記録するのが一般的な流れです。
描いた絵はどこに保存すればいいの?
保存先としては、いくつかの選択肢があります。
- パソコンやタブレットの内部ストレージ:使っている機器の中に直接保存する方法です。手軽ですが、機器が故障した場合にデータが失われるリスクがあります。
- 外部ストレージ:USBメモリや外付けハードディスクなど、パソコンとは別の機器に保存する方法です。パソコン本体とは別に保管できるため、バックアップとしても有効です。
- クラウドストレージ:インターネット上の保管場所にデータを預けるサービスです(例:Google Drive、Dropboxなど)。インターネット環境があればどこからでもアクセスでき、機器の故障に左右されにくいというメリットがありますが、サービスの利用料がかかる場合もあります。
最初は、まずはパソコンの分かりやすい場所にフォルダを作って保存することから始めてみるのが良いでしょう。慣れてきたら、大切な絵は外部ストレージやクラウドストレージにも保存して、バックアップを取っておくことをおすすめします。バックアップとは、同じデータを別の場所にもコピーしておき、万が一の事態に備えることです。
「ファイル形式」って何?
デジタルアートを保存する際、「ファイル形式」という言葉を目にすることがあります。これは、デジタルデータをどのような種類(形式)で保存するか、ということです。絵を描くソフトごとに得意な形式や、一般的な形式など、いくつかの種類があります。ファイル形式によって、保存できる情報や、絵をどう使えるかが変わってきます。
初心者の方が知っておくと便利な代表的なファイル形式をいくつかご紹介します。
- ソフトの独自形式(例:.PSD - Photoshop形式, .CLIP - CLIP STUDIO PAINT形式など)
- 使っているデジタルアートソフトが推奨する形式です。
- 絵の見た目だけでなく、描画に使った「レイヤー」の情報などをそのまま保存できます。後から細かい修正をしたい場合に便利です。
- ただし、そのソフトを持っていないと開けない場合が多いです。
- JPEG(ジェイペグ, .jpgまたは.jpeg)
- 写真や一般的な画像を保存する際によく使われる形式です。
- ファイルサイズを小さくできるため、Webサイトに載せたり、メールで送ったりするのに適しています。
- ただし、圧縮する際に少し画質が劣化することがあり、一度保存するとレイヤー情報は失われます。背景を透明にすることもできません。
- PNG(ピング, .png)
- JPEGと同様にWebでよく使われる形式です。
- JPEGと比べてファイルサイズは大きめになることがありますが、画質の劣化が少なく、背景を透明にしたまま保存できるという大きな特徴があります。イラストやロゴなど、背景を透過させたい場合に便利です。
- こちらもレイヤー情報は失われます。
描きかけの絵や、後から編集する可能性がある絵は、まずソフトの独自形式で保存しておくのが安心です。完成して、誰かに見せたい、SNSに投稿したい、という場合は、JPEGやPNG形式で「書き出し」や「複製を保存」といった機能を使って保存すると良いでしょう。
「解像度」って何?
保存する際に「解像度」という設定項目を目にすることもあるでしょう。解像度とは、デジタル画像の「きめ細かさ」や「鮮明さ」を示すものです。
画面上の絵は、実際には小さな点(ピクセル)が集まってできています。解像度が高いほど、限られた範囲により多くのピクセルが詰まっていることになり、絵はより滑らかで詳細に見えます。逆に解像度が低いと、点が粗く見えたり、拡大したときにぼやけてしまったりします。
解像度は、主に「dpi(dots per inch)」や「ppi(pixels per inch)」という単位で表されます。これは、「1インチ(約2.54cm)の長さの中に、点がいくつ並んでいるか」を示しています。例えば、72dpiなら1インチに72個の点が、350dpiなら1インチに350個の点が並んでいるイメージです。数が大きいほど解像度が高いということになります。
なぜ解像度が大切なのでしょうか。それは、絵をどのように使うかによって、必要な解像度が変わってくるからです。
- WebサイトやSNSに表示する場合:画面で見るだけであれば、一般的に72dpi〜150dpi程度あれば十分と言われています。これ以上高くしても、画面上では見た目の差がほとんどなく、ファイルサイズだけが大きくなってしまいます。
- 印刷する場合:紙に印刷する場合、よりきめ細かさが必要になります。ポスターや写真集など、用途によって異なりますが、一般的に300dpi〜350dpi以上が必要とされています。この解像度で描かないと、印刷した際に画像が粗く見えてしまうことがあります。
キャンバスを新しく作る際に解像度を設定することが多いですが、初心者の方は、もし後で印刷する可能性があるなら、最初から300dpiなど高めの設定で始めておくと安心です。Webでしか使わないと決めている場合は、72dpiや150dpiで始めても良いでしょう。ただし、一度低い解像度で描いてしまうと、後から解像度を高くしても画像は鮮明にならないことが多いので注意が必要です。
まとめ:描いた絵を大切に扱おう
今回は、デジタルアートの保存方法、ファイル形式、そして解像度について基本的な内容を解説しました。
- 描いた絵は、作業中でも完成後もこまめに保存することが大切です。
- 保存する場所は、パソコンだけでなく外部ストレージやクラウドも活用し、バックアップも考えると安心です。
- ファイル形式によって、レイヤーが残せるか、背景を透明にできるかなどが変わるので、用途に応じて選びましょう。
- 解像度は画像のきめ細かさを示すもので、Web用なら低め、印刷用なら高めの設定が必要です。後から変更が難しい場合が多いので、キャンバスを作る際に用途を考えて設定すると良いでしょう。
これらの概念は、デジタルアートを続ける上でとても重要になります。最初は少し難しく感じるかもしれませんが、実際にソフトを操作しながら試してみると、少しずつ理解が深まるはずです。
せっかく時間をかけて描いた大切な絵を、しっかりと保存・管理して、デジタルアートをもっと楽しんでくださいね。