デジタルアートで絵に立体感を出す!影と光の基本的な塗り方
これからデジタルアートを始めたいと考えている方、あるいは少し描き始めたばかりの方にとって、「どうすれば絵がもっと生き生きして見えるだろう」と感じることはありませんか。絵に立体感や奥行きを出すためにとても大切なのが、「影」と「光」の表現です。
ここでは、デジタルアートで影や光を表現するための基本的な考え方と、ソフトを使った具体的な塗り方のステップをご紹介します。難しい専門知識は使いませんので、安心して読み進めてください。
なぜ影と光が必要なのでしょうか
私たちが普段見ているものは、光が当たっている部分とそうでない部分があります。光が当たっている部分は明るく見え、そうでない部分は暗く影になります。この明るさの違いがあるからこそ、物の形や立体感を認識することができます。
絵においても同じです。影と光を描き加えることで、平坦だった絵に奥行きが生まれ、まるでそこに「存在している」かのように見せることができます。キャラクターや物の形がはっきりしたり、絵全体の雰囲気や時間帯(朝なのか夜なのかなど)を表現したりすることも可能になります。
影と光を描くための基本的な考え方
影と光を描き始める前に、いくつか基本的なことを考えてみましょう。
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光源はどこにあるか
- 光がどこから来ているかを決めます。太陽、電球、窓の外など、一つ(または複数)の光源を設定します。
- 光源の位置によって、影ができる場所や光が当たる場所が決まります。例えば、右上に光源があれば、物の左下あたりに影ができます。
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光が当たっている面とそうでない面
- 光源からの光が直接当たっている面は明るくなります。
- 光が遮られてしまう部分は影になります。
- 物の形を意識して、どの面に光が当たり、どの面が影になるかを想像してみましょう。
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影の色と光の色
- 影の色は、多くの場合、元の色よりも少し暗く、少しだけ別の色(例えば青や紫)を混ぜると自然に見えることがあります。単に黒を塗るのではなく、元の色に馴染ませるのがポイントです。
- 光の色は、元の色よりも明るく、光の色(例えば太陽なら少し黄み、電球なら暖色系など)を加えると良いでしょう。
いきなり完璧に考える必要はありません。まずは「光はこっちから来る」と決めて、簡単な丸や四角で光と影の当たり方をイメージしてみることから始められます。
デジタルアートソフトでの影の基本的な塗り方
デジタルアートソフトには、影を描くのに役立つ便利な機能があります。特に「レイヤー」機能を活用するのが一般的です。
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影用の新しいレイヤーを作る
- 描きたい絵の線画や塗りのレイヤーの上に、新しくレイヤーを追加します。このレイヤーを影を描くためのレイヤーとします。レイヤーの名前を「影」などにしておくと分かりやすいでしょう。
- レイヤーを分けておくことで、影だけを後から修正したり消したりすることが簡単にできます。
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影の色を選ぶ
- 影をつけたい部分の元の色を選びます(スポイトツールなどが便利です)。
- 選んだ色を基準に、カラーパレットで少し暗く、少しだけ違う色(例えば青みがかった色)に調整します。
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影を塗る
- 選んだ色とブラシツールを使って、影になる部分を塗っていきます。光源の位置を意識しながら、大胆に塗ってみましょう。
- 塗りすぎた場合は、消しゴムツールや「元に戻す」機能で修正できます。
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レイヤーの描画モードや不透明度を調整する(応用)
- 多くのソフトには「レイヤーの描画モード」という機能があります。「乗算(Multiply)」などのモードに設定すると、下のレイヤーの色と影の色が自然に混ざり合い、馴染んだ影を表現できます。
- 影用のレイヤーの「不透明度」を下げると、影が薄くなり、下の絵が透けて見えます。これにより、影の濃さを簡単に調整できます。最初は不透明度を低めにして、少しずつ濃くしていくのがおすすめです。
デジタルアートソフトでの光の基本的な塗り方
光も影と同様に、レイヤーを分けて塗るのがおすすめです。
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光用の新しいレイヤーを作る
- 影のレイヤーとは別に、光を描くための新しいレイヤーを追加します。名前を「光」「ハイライト」などとすると良いでしょう。
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光の色を選ぶ
- 光をつけたい部分の元の色を選びます。
- 選んだ色を基準に、カラーパレットで少し明るく、光の色(例えば黄み)を加えた色に調整します。白に近い色や、光源の色そのものを使うこともあります。
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光を塗る
- 選んだ色とブラシツールを使って、光が強く当たる部分や、物のツヤとして光る部分(ハイライト)を塗ります。
- ハイライトは細く入れることが多いですが、光の種類によって表現は様々です。
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レイヤーの描画モードや不透明度を調整する(応用)
- 光用のレイヤーの描画モードを「スクリーン(Screen)」や「加算(Add)」などに設定すると、下のレイヤーの色と光の色が合わさって、より明るく輝くような表現ができます。
- 影と同様に、不透明度を調整して光の強さをコントロールできます。
影と光を描く上でのヒント
- 一度に濃く塗らない: 最初は薄めに塗り、様子を見ながら少しずつ塗り重ねていくと失敗しにくいです。
- 「元に戻す」機能を活用: デジタルアートの大きな利点は、何度でもやり直しができることです。気に入らなければすぐに前の状態に戻せますので、ためらわずに色々試してみましょう。
- 観察する: 身の回りの物や、好きなイラストレーターさんの絵をよく見て、光と影がどのように表現されているか観察するのも勉強になります。
- 練習あるのみ: 最初は難しく感じるかもしれませんが、繰り返し練習することで少しずつ感覚がつかめてきます。簡単な形(ボールや箱など)に影と光をつけてみる練習から始めるのも良いでしょう。
まとめ
デジタルアートで絵に影と光を加えることは、絵を立体的に見せ、魅力を大きく高めるための重要なステップです。光源の位置を考え、新しいレイヤーを使って影と光を分けて塗ることから始めてみましょう。
最初はうまくいかなくても大丈夫です。繰り返し挑戦し、少しずつ慣れていくことが大切です。影と光の表現をマスターすることで、あなたのデジタルアート作品はきっともっと豊かで生き生きとしたものになるでしょう。ぜひ、楽しみながら試してみてください。