デジタルアート初心者のQ&A

デジタルアートで描いた絵の背景を透明にする方法

Tags: デジタルアート, 初心者, 背景透過, 保存方法, PNG

はじめに:なぜ背景を透明にしたいのでしょうか

デジタルアートで絵を描き始めた方の中には、「描いたキャラクターだけを使いたい」「他の画像と重ねたい」「SNSのプロフィールアイコンにしたい」といった理由で、絵の背景を透明にしたいと考える方もいらっしゃるでしょう。

背景が透明な画像は、様々な場面でとても便利に活用できます。この記事では、デジタルアートで描いた絵の背景を透明にするための基本的な方法を、デジタルアート初心者の方にも分かりやすくご説明します。

背景が透明な画像とはどんなものですか

デジタルアートソフトで新しいキャンバスを作成したり、画像を編集したりしていると、背景部分が白や単色ではなく、灰色と白の市松模様(チェッカー模様)になっているのを見かけることがあります。

この市松模様は、その部分に「何も色がない」、つまり「透明である」ことを示しています。画像を保存して他の場所で表示する際に、この透明な部分を通して下に別の画像や色が透けて見えるようになります。

写真のような一般的な画像(JPEG形式など)は、必ず何らかの色で埋め尽くされており、背景を完全に透明にすることはできません。背景を透明にできるのは、デジタルアートソフトで作成・編集するデジタル画像ならではの特徴です。

背景を透明にするための基本的な考え方

背景を透明にするには、主に2つの方法があります。

  1. 絵を描き始める前に、キャンバスの設定で背景を透明にする
  2. 絵を描いた後に、背景に描かれた色を消して透明にする

これからデジタルアートを始めたいと考えている方は、まず「絵を描き始める前に設定する方法」を知っておくと、後から背景を消す手間が省ける場合があります。しかし、すでに絵を描き終えてしまった場合や、背景の一部だけを透明にしたい場合は、「絵を描いた後に消す方法」を試してみることになります。

それぞれの方法について、具体的に見ていきましょう。

方法1:絵を描き始める前に背景を透明にする設定

多くのデジタルアートソフトでは、新しいキャンバスを作成する際に、背景を透明にするかどうかを設定できます。

新しいキャンバスを作成するメニューを選ぶと、サイズや解像度といった項目と一緒に、「背景色」や「透過」といった設定項目があるはずです。

といった操作で、最初から背景が透明なキャンバスを作成できます。この状態で絵を描けば、描いていない部分は自動的に透明になります。

ソフトによって表現は異なりますが、「透明」や「透過」といったキーワードを探してみてください。新しいキャンバスを開いた時に背景が市松模様になっていれば、設定は成功です。

もし、すでに絵を描き始めてしまっていて、背景を最初から透明にしたい場合は、一度絵を保存し(ソフト独自の形式やPNG形式など、透過情報が保存できる形式が良いです)、新しい透明なキャンバスにその絵を読み込むか、元のキャンバスの背景レイヤーを削除するといった手順が必要になります。

方法2:絵を描いた後に背景の色を消して透明にする

すでに描いてしまった絵の背景を透明にしたい場合は、背景に描かれている色を「消す」ことで透明にします。消すには、主に以下のツールを使います。

1. 消しゴムツールを使う方法

描画ツールの一つである「消しゴムツール」を使って、背景部分を直接消していく方法です。

  1. ツールバーから「消しゴムツール」を選択します。
  2. 消したい背景の部分をドラッグして消していきます。

この方法は直感的で分かりやすいですが、細かい部分を消すのが難しかったり、消し残しが出やすかったりします。ブラシのサイズや硬さを調整しながら使うと、よりきれいに消すことができます。

2. 選択ツールを使う方法

「選択ツール」や「自動選択ツール」を使って、背景部分を選択し、まとめて消す方法です。この方法は、背景が単色だったり、背景と描いた絵の境界がはっきりしている場合に非常に有効です。

選択ツール(長方形選択、投げ縄選択など)を使う場合

  1. ツールバーから「選択ツール」を選び、消したい背景部分を囲むように選択範囲を作成します。
  2. 選択範囲が作成されたら、キーボードの「Delete」キーを押すか、ソフトの編集メニューから「消去」や「カット」を選択します。

自動選択ツール(マジックワンドなど)を使う場合

自動選択ツールは、クリックした場所の色と似た色を自動的に選択範囲として指定してくれる便利なツールです。

  1. ツールバーから「自動選択ツール」(ソフトによっては「マジックワンド」などと呼ばれます)を選択します。
  2. 背景の色が付いている部分をクリックします。すると、その色に近い範囲が自動的に選択されます。
  3. 選択範囲がうまくいかない場合は、ツールの設定にある「許容値」(似ていると判断する色の範囲)を調整してみましょう。
  4. 選択範囲が作成されたら、「Delete」キーなどで消去します。
  5. 背景が複数の色で構成されている場合は、繰り返しクリックして選択範囲を追加していく必要があります。

選択ツールを使った後、選択範囲を解除する操作(「選択を解除」や「Deselect」など)を忘れないようにしましょう。

背景を透明にした画像を保存する際の注意点

背景を透明にした絵を保存する際には、一つ非常に重要な注意点があります。それは、透明情報を保持できるファイル形式で保存する必要がある、ということです。

一般的な画像ファイル形式には、透過情報を扱えるものと扱えないものがあります。

もし、せっかく背景を透明にしたのに、JPEG形式で保存してしまうと、透明だった部分が白や黒、あるいはソフトの設定に応じた色で塗りつぶされてしまいます。

背景を透明にした画像を保存する際は、必ずPNG形式GIF形式を選択してください。特に、デジタルアートの場合はPNG形式がよく使われます。

保存メニューから「別名で保存」や「書き出し」を選び、ファイル形式のドロップダウンリストから「.png」または「.gif」を選択して保存しましょう。

まとめ

デジタルアートで絵の背景を透明にする方法は、描く前のキャンバス設定と、描いた後の背景消去の2通りがあります。どちらの場合も、最後に透明情報を保持できるPNG形式などで保存することが大切です。

背景を透明にすることで、描いた絵の活用の幅が大きく広がります。ぜひこの記事を参考に、あなたのデジタルアート作品をさらに自由に、楽しく活用してみてください。