白紙のデジタルキャンバスに描く最初の一歩:頭の中のイメージを形にするには
デジタルアートに挑戦しようとソフトを開いたものの、白紙のキャンバスを前に「何をどうすればいいのだろう」と手が止まってしまった経験はありませんか。頭の中に描きたいイメージはあるけれど、それをデジタルで形にする最初の一歩が分からないという方は多いかもしれません。
この記事では、これからデジタルアートを始めたいと考えている初心者の方に向けて、頭の中にあるイメージを具体的な絵として描き始めるための最初のステップを丁寧にご紹介します。
描きたいイメージを明確にする準備
デジタルキャンバスに向かう前に、まずは描きたいイメージを自分の中で整理してみましょう。
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テーマや題材を決める
- どんなものを描きたいか、おおまかで構わないので考えてみましょう。好きなキャラクター、風景、動物、身の回りの物など、何でも大丈夫です。
- 最初から複雑なものを描こうとせず、シンプルな形のものから挑戦してみるのも良い方法です。
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参考資料を探す
- 頭の中のイメージだけでは、形や色を正確に捉えるのは難しいことがあります。
- 描きたいものに関連する写真や、他のアーティストの作品などを参考に集めてみましょう。スマートフォンの写真や、インターネット上の画像検索などを活用できます。ただし、他の作品をそのまま真似るのではなく、あくまで参考にする程度に留めることが大切です。
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簡単なラフ(下書き)を考える
- デジタルソフトをいきなり使う前に、紙とペンで簡単なスケッチ(ラフ)を描いてみるのも効果的です。
- 全体の構図や、描きたいものの位置、おおまかな形などをザッと描いてみましょう。これは他の人に見せるものではないので、上手く描けなくても全く問題ありません。頭の中のイメージを一度外に出してみる練習になります。
デジタルキャンバスを準備する
イメージが少し固まってきたら、いよいよデジタルキャンバスを準備します。
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新しいキャンバスを作成する
- お使いのデジタルアートソフトを開き、「新規作成」や「新しいキャンバス」といったメニューを選んで、描画する画面を作りましょう。
- この時、キャンバスの「サイズ」や「解像度」を決める画面が出てくることがあります。最初は練習用なので、あまり難しく考えず、一般的なサイズ(例えば幅1920ピクセル、高さ1080ピクセルなど)や、解像度72dpi(Web用)や300dpi(印刷用)あたりを目安に選んでみてください。練習であれば、サイズや解像度は後から変更することも可能ですし、最初はあまり大きくなくて大丈夫です。
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最初のツールを選ぶ
- キャンバスが開いたら、線を描くための「ブラシツール」を選びます。
- ブラシの種類がたくさんあって迷うかもしれませんが、まずは「Gペン」や「丸ペン」といった基本的な線が描けるものを選んでみましょう。
- 線の「色」は、最初の下書き用なので薄い灰色や水色など、後で消しやすく目立たない色がおすすめです。ブラシの「サイズ」も細すぎず太すぎず、描きやすい太さに調整します。
ラフ(下書き)を描くステップ
デジタルキャンバスの準備ができたら、いよいよ描く作業に入ります。
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下書き用のレイヤーを作る
- デジタルアートでは、「レイヤー」という機能がとても重要です。これは透明なシートのようなものを重ねていくイメージです。下書き、線画、色塗りなどを別々のレイヤーに分けることで、後から修正しやすくなります。
- キャンバスを開いた状態は通常1枚のレイヤー(背景レイヤーなど)がありますが、その上に新しく下書き用のレイヤーを追加しましょう。「新規レイヤー作成」や「レイヤーを追加」といったボタンやメニューを探してみてください。
- 新しくできたレイヤーを選んだ状態(アクティブな状態)にして、これから描くものがこのレイヤーに描かれるようにします。レイヤーの名前を「ラフ」や「下書き」など分かりやすい名前につけておくと、後で区別しやすくなります。
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おおまかな形を描く
- 下書き用のレイヤーに、準備段階で考えたラフや参考資料を見ながら、おおまかな形を描き込んでいきます。
- ここではまだ細部を描く必要はありません。全体のバランスや、描きたいものが画面のどこに配置されるかなど、シルエットをとるような感覚でザッと描いてみましょう。
- 多少線がずれたり、上手く描けなくても気にしないでください。デジタルなら簡単に消したり描き直したりできます。失敗を恐れずに、どんどん線を描いてみましょう。
次のステップへ進む準備
おおまかなラフが描けたら、次はより詳細な線画を描いたり、色を塗ったりする段階に進みます。
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下書きレイヤーを見えにくくする
- 描いたラフ(下書き)の線が邪魔にならないように、下書き用のレイヤーの「不透明度」(透明度)を下げて、線が薄く表示されるように調整しましょう。
- レイヤーの設定画面で、「不透明度」や「Opacity」といった項目を探してみてください。数値を下げることで、線が透けたようになります。完全に非表示にすることも可能です。
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新しいレイヤーに描き進める
- 下書き用レイヤーの上に、さらに新しいレイヤーを作成します。このレイヤーに、先ほど薄く表示させた下書きをガイドにして、清書用の線画を描いたり、色を塗ったりしていきます。
- 線画を描く場合は、今度はもう少ししっかりした色(黒など)と、描きたい線のイメージに合ったブラシを選びましょう。
最初の一歩を踏み出すことの大切さ
頭の中にあるイメージをデジタルで形にするには、最初の一歩として「おおまかなラフを描く」ことから始めてみるのがおすすめです。完璧を目指さず、まずは手とペン(またはペンタブレット)を動かして、画面に何かを描き出してみましょう。
このステップは、白紙のキャンバスに対する心理的なハードルを下げる助けになります。描いているうちに、新しいアイデアが生まれたり、次に何をすれば良いかが見えてきたりすることもあります。
焦らず、楽しみながら、あなただけのデジタルアート制作の旅を始めてください。